2015/06/02 更新逸失利益

会社代表者の逸失利益

横浜地裁 平成26年10月24日判決

自保ジャーナル1937号

今回紹介する裁判例は、争点になりやすい会社代表者の逸失利益について判断したものです。

今回の裁判例では、金型の製造・加工等を業務とする会社(従業員約15名)の代表取締役の逸失利益(後遺症:14級)が争点になりました。

裁判所は、被害者(代表取締役)の業務について

  1. 資金・労務・納期管理
  2. 加工作業、図面作成業務、営業活動
  3. 従業員とほぼ同じ時間帯に就労
  4. 納期に間に合わない場合には休日も就労していた

などの事実を認定しました。

また、役員報酬については、「平成21年度の年収が805万円であったが、平成25年度の年収は約480万円に減少していることが認められ、役員報酬は会社の収益に連動するが、元々会社の収益については不確定的要素が強い」と判断しました。

その上で、逸失利益の計算における「基礎収入」について、「労務対価部分については症状固定時年度(平成23年)の男性労働者の賃金センサス(高卒者の45歳から49歳)に従い、549万3,500円と認めるのが相当である」と認定しました。

会社代表者の逸失利益を主張する際には、実際の業務内容や役員報酬の変動などを丁寧に立証していくことが重要です。

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。