2016/11/21 更新治療費・治療期間

後遺障害と適正な通院

最高裁平成27年12月17日

今回は、後遺障害の残存を主張していたが、事故後12日間受診していなかった等の理由から事故と受傷の因果関係を否認された事案をご紹介します。

裁判所は、以下の理由から、事故から傷害を負ったという被害者の供述の信用性がなく、事故と受傷の因果関係を否定しました。

  • 本件事故により本件傷害を負ったのであれば、より早期に受診の必要性を感じる痛み等の症状を自覚してしかるべきと考えられるところ…被害者はこれ(病院)を受診しなかった
  • 被害者が…受診するまで、本件事故以前と同様の業務に従事しており、委員を受診したのは本件事故前から予約していた薬剤処方の目的であったこと
  • 本件事故が比較的軽微なものであったこと

交通事故で受傷し、通院が終了した段階で後遺障害の認定を申し立てることになりますが、通院歴や治療の経過・内容、医師の診断等の客観的事実を総合して判断することになります。

その中で当然通院をどのようにしていたのかということも考慮要素の一つとされることになりますので、仕事が忙しいから等の理由から不調があるのに無理をして通院を減らすということはできるだけ避けた方が良いかもしれません。

もっとも、無理に数多く通院したからと言って後遺障害が認定されるわけではありません。あくまでも痛みを我慢して通院することを控えると、総合考慮をする際の一要素とした結果、今回の判決のように事故と受傷との因果関係を否定される可能性があるということです。

適切な賠償を受けるためには適切な方法で通院することも大事ですので、事故後早期に弁護士に相談することをお勧めいたします。

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。